尊い命を救う救命救急処置

今月は高齢ワンコとの暮らしに役立つトピックをテーマに季刊誌発行、各種イベントを行っているぐらんわん !とコラボした「犬の救命講座」、板橋区にあるワンコと一緒にお酒やお食事が楽しめるDog Cafe & Bar Petitleonにて応急手当に特化した「犬の救急講座」を開催させていただきました。

ワンコのカラダのケアをお手伝いさせていただいている者として、これは是非是非ワンコと一緒に暮らす全ての飼い主さん、そしてワンコを相手にしたお仕事に携わっている全ての方に受講していただきたい講座です。

私が救命、応急手当を学ぼうと思ったのは、トリミングサロンでトリミング中に突然なんの前触れもなくワンコが心肺停止に陥ってしまったお話を聞いたからです。
普段通りお預かりしたワンコを冷たくなった状態でお返しするなんて、飼い主さんにとってもトリマーさんにとっても、不可抗力とはいえ悪夢です。想像もしたくない、非常に残念で悲しい事態ですよね。

命に関わるような突然の発作や脳梗塞などは老若男女を問わず起こり得るものですが、少しでもこのようなリクスを避ける為、最近では高齢犬お断りというトリミングサロンも多いと聞きます。
体温変化や環境変化などによる心身への負担は比較的若い子よりもかかりやすいであろう高齢犬。これが引き金となってしまうのを懸念して・・・という事なのでしょう。
「もしも・・・」のリスクも多少軽減されるとは思いますが、「生きもの(=命)」を預かっている以上、そのリスクは決して0にはなりません。
だからこそ「もしも・・・」の時のためにその対処法を学んでおくことはとても大事であり、必要不可欠なことだとは思いませんか。

犬の整体BONJOURの場合、整体施術は飼い主さんの目の前で行っており、トリミングサロンやペットホテル、犬の幼稚園、トレーニング教室などのようにワンコを一時お預かりするようなことはないのですが、突然ワンコの意識が遠のき心肺停止状態に陥るような事があった場合、飼い主さんにその状況を丸投げするような事はできませんし、絶対にできない、したくない。
私は獣医師ではありませんからできることは限られてしまうけれど、病院へバトンダッチするまでの「命をつなげる」お手伝いは可能な限りしてあげたい。
そんな想いから私は救命救急を学ぶことを決めました。
整体施術を受けるワンコには高齢の子も多いし、様々な疾患を持つ子、緩和ケア的に施術を受けている子もいますから、「もしも・・・」の備えは絶対に必要だと思いました。

そして私はヒトと犬の整体師でもあるので、ヒトと犬に向けた救命、応急処置を学ばせいただき、現在は普及活動のお手伝いもさせていただいるというわけです。

 

うちの子はまだ若くて元気だから関係なさそう?

うちの子にかぎって・・・と思われる飼い主さんもいらっしゃることとは思うのですが過信は禁物です。

これは都内某救急動物病院に運ばれた救急患者の事例数(2016年6月〜2017年7月調べ)ランキングです。
1位 落下事故
2位 車による交通事故
3位 バイク・自転車による交通事故
4位 その他(咬傷・やけど等)

救急で病院に運ばれるケースは病気ではなく「事故」、アクシデントなんですね。老若男女関係ないんです。
逆に「元気いっぱいパワー持て余す程」の子の方がリクス高そうにも映りませんか?

そしてこちらは傷病と手術のランキング(2017年アイペット調べ)
<傷病>
1位 皮膚炎
2位 外耳炎
3位 下痢
4位 腫瘍
5位 異物誤飲

<手術>
1位 腫瘍
2位 歯周病
3位 異物誤飲

5位と3位にランクインした「異物誤飲」、これもやはりアクシデントです。
異物が気道に詰まってしまい呼吸困難を起こしているような状況ともなれば、直ちに気道異物除去を試みて窒息しないよう対処する必要があります。

どんなに気をつけていても大なり小なりヒヤッとした経験をお持ちの方は結構多いのではないかと思います。
幸いなことに今まで大事に至らなかったけれど、これからもずっとその「幸い」が続くとは限りません。
「もしも・・・」の時のためにその対処法を学んでおくのは、尊い命を預っているのだから当然。それは義務と言っても過言ではないと私は思うのですがいかがでしょうか。

「助かる命を救うために実践的に学ぶ」

このご時世ですからインターネットで検索すれば、救命、応急処置のやり方を知ることはできます。丁寧な図解説があったり、動画視聴できれば、さらにわかりやすくて理解もしやすいでしょう。
けれど、私はあえて講座受講をおススメさせて頂きます。
「頭でわかっている」のと「実際にやってみる」のとでは随分違いますし、記憶の残り方だって全然違うからです。

例えばコンピューターやスマホだって、実際に操作しながらでないと使い方なかなか覚えられなかったりしますよね。
さらに言うと、「繰り返し使う(実践する)」ことによって「使いこなせるようになる(できるようになる)」わけですよね。
そう考えてみると、実際に実践する機会なんて滅多にないであろう救命、応急処置ともなれば、いざという時に本当にできるかしら?という感じなはず;
大抵の方が人生の中で1度や2度くらい、職場や学校、消防イベントなどで救命講習を受講された経験をお持ちでないかと思います。
でも実際のところ、その時に学んだこと、実践してみた心肺蘇生法を覚えている、という方は案外少ないのではないでしょうか。
幸いなことにそのような機会に遭遇し実践に至ったこともないともなれば、やはり忘れてしまって当然ですよね。

なのでこの種の講座は、機会があれば何度でも受講し、復習してみることをおススメいたします。
ヒトの救命講習認定に有効期限が付いていて、再受講を促しているのも技能維持推奨のためなんですよ。また、ガイドライン改定に合わせた最新の術を学び、活用できるようにするためでもあります。

そして是非、継続的にご自宅でもぬいぐるみやクッションなどを相手に練習をしてみて、その姿勢、動作、順序を自身のカラダの芯まで染みこませてあげて下さい。

ちなみに・・・
私が救命、応急手当てを学ぶきっかけともなった前述のトリミング中に心肺停止してしまったワンコ。
たまたま側にヒトの救命講習を受けた事がある方がいらっしゃり、とっさに自己流ながらもワンコに心臓マッサージを行ない、幸いにも息を吹き返し無事に飼い主さんにお返しする事ができたそうです。(事情をお話ししてすぐにお迎えに来て頂き、そのまま病院に直行していただいたそうです)

もし、この時心肺蘇生を行なっていなかったら・・・
このワンコは確実に亡くなっていたことでしょう。
命を救うためにはその場に居合わせた人による応急手当が必要不可欠なのだという事がよくよくわかる出来事でしたよね、本当に。

尊い命、助かる命を助けるために、機会があれば是非救命救急学んでみてください。

<今後開催予定の救命救急講座のお知らせ掲載予定あり。詳細しばらくお待ち下さい>