前面・前脚の骨格図

前脚には肩関節、肘関節、手根関節の3つがあります。手根関節はヒトのWrist(リスト)、手首にあたります。英語ではjoint of wrist(手首の関節)とも言われたりしています。

関節は骨と骨が連結している部分をさし、その役割として「動きの支点となる」「動きの角度と方向の制御」を司っています。

ワンちゃんの足指の数

指の足の数は前足5本、後足4本。
前足の親指にあたる指は「狼爪(ろうそう)」と呼ばれていて、接地することはありません。
後ろ足の狼爪は退化/消滅して4本のことが多いですが、残っているワンちゃんもいたりします。

 

ワンちゃんの前脚

肩から肘までの二の腕(上腕)は上腕骨(Humerus)で形成されていて、一般的にその長さは肩甲骨と大体イコールとされています。上腕骨の長短はワンちゃんの歩幅とも関連しています。走るのが速い犬種は上腕・前腕の骨も長く、前肢の駆動力もパワフルです。肘は胸より下についていて、逆に上腕骨が短いダックスフンドやコーギーなどは肘が胸より上についています。

肘から手首までの前腕は橈骨(Radius)と尺骨(Ulna)の2本の骨で形成されていて、前に位置しているのが橈骨、その後ろ側に位置して肘の後ろから伸びている長い骨が尺骨になります。
理想的な肩甲骨(Scapula)の角度は45°となっていて、肩甲棘(Scapula spine)〜肩峰(Acromion)をたどった角度で確認出来ます。
肩関節の角度は肩甲骨と上腕骨の角度が90°となっています。
90°+αの角度になってくると肩甲骨が立ってきて(肩甲骨上部前引/下部後引)前脚が体の重心に近づき、その分肩関節の可動域が狭くなっていきます(=歩幅が狭くなる)。

 

 

体の表面から触れる事ができる骨格部位の目印ともなるポイント
胸骨柄きょうこつへい/Prosternumプロスターナム)〜胸の前中央あたり、胸骨の端にある触れる事の出来る突起。主な胸の筋肉の起始部でもあります。

肩甲棘けんこうきょく/Scapula spineスキャプラ スパイン)〜肩甲骨の中央部分を走っている触れる事の出来る棘上の突起。ここを境に前肢の動きに関わる大切な筋肉が上下についています。

肩峰けんぽう/Acromionアクロミオン)〜肩甲棘の腹側面の端にある触れる事が出来る突起。前肢の動きに関わる筋肉が付着しています。

鳥口突起うこうとっき/Coracoid processコラコイド プロセス)〜肩関節の付け根部分、肩甲骨の上縁の外側端にある突起。肩を外に押し広げる筋肉の起始部でもあります。

大結節だいけっせつ/Major tubercleメイジャー トベルクル)〜上腕骨の頭側の端にある触れる事ができる突起。主な胸の筋肉の停止部でもあります。

肘頭ちゅうとう/Olecranonオレクラノン)〜肘関節を越えて尾の方へ突起している肘の先端部分。肘の動きに関わる筋肉が付着しています。