背面・後ろ脚の骨格図
後ろ脚には股関節、膝関節、足根関節の3つがあります。足根関節はヒトのankle(アンクル)、足首にあたります。英語ではAnkle joint(足首の関節)とも言われたりしています。
ワンちゃんは常につま先立ち
ワンちゃんはかかとを地面から浮かせた状態、つま先立ちで体全体を支えています。
ヒトのように足裏全体、かかとまで接地しているより、接地面積が小さい方が素早く、速く走ることができるためです。
地面に接している部位はパッドだけで、ヒトのそれと比べてみるとしたらイメージとしてはこのようになります。かかと、手首は接地しておらず接地面積は非常に小さくなっています
ワンちゃんの後脚
骨盤から膝までのモモは大腿骨(Femur)で。膝から足首までの下腿は「スネ」とも呼ばれている脛骨(Tibia)と腓骨(Fibula)で形成されていて、一般的に大腿骨と下腿骨の長さは大体イコールとされています。大腿骨の長短は膝の位置の高低に関わるので膝の振り幅、つまり歩幅とも関係してきます。例えば大腿骨が短いと膝の降り幅も小さくなり歩幅も小さくなります。
お尻の頬下辺りの突起した骨(坐骨結節)から床に垂直線を引いた時に垂直線が下腿の中間を通り、パットが若干後ろに着地している立ち姿勢が一般的にバランスが良い立ち方とされています。
パットが垂直線より前に着地していたり、後ろ過ぎる着地では股関節や膝の角度も大きく変動し、その分関連した筋肉への負担も大きくなります。
理想的な骨盤(Pelvis)の角度は背中のラインに対する角度が30°,股関節の角度が90°となっています。90°+αの角度になってくると骨盤が立ってきて(骨盤後傾)後脚は体の重心に近づき、その分股関節の可動域は狭くなっていきます(=後ろに蹴り出せなくなり歩幅が狭くなる)。また、前脚に後脚が近づく為に前脚の歩幅と被ってしまうなどの支障も出てきます。
体の表面から触れる事ができる骨格部位の目印ともなるポイント
坐骨結節(ざこつけっせつ/Ischiadic tuberイスキャディック テューバ)〜坐骨の下端にある触れる事が出来る突起。後肢の動きに関わる筋肉が付着しています。
腸骨稜(ちょうこつりょう/Iliac crestイリアクラス)〜腸骨上の曲線を描いている縁の部分。骨盤の一番上の部分で、触れる事が出来る部位。後脚を後ろへ引く為の筋肉の起始部でもあります。
大転子(だいてんし/Greater trochanterグレイラー トロケンター)〜大腿骨の上端、坐骨結節から前外側にあり触れる事が出来る突起。お尻の筋肉の停止部でもあります。
膝蓋骨(しつがいこつ/Patellaパテラ)〜膝の前面で触る事が出来る扁平な小石状の骨で膝を保護する役割をしています。
かかと(Heel)〜足根関節の後ろ、尾側にあり触れる事が出来る突起。飛節(ひせつ)とも呼ばれています。
椎骨の形状
棘突起(きょくとっき/Spinous processスピナス プロセス)〜背骨に沿って触れると触る事が出来る突起です。
横突起(よことっき/Transverse processトランバス プロセス)
関節突起(よことっき/Articular processアーテキュラー プロセス)
尻尾の役割
○バランスの維持
ワンちゃんの尻尾には体のバランスを保つための重りの役割というのもあります。泳ぐことを含めた運動における舵取りの役目をし、方向転換時の安定維持や転倒の防止、走行時の下半身のバランスコントロール、ブレーキ効果など、素早く且つ複雑な動きをサポートするために重要な働きをしています。
○体温の維持
体を丸めて尻尾で鼻先を覆うことで冷たい空気を吸い込む事を防いだり、顔、カラダを覆うことにより寒さから身を守り保温します。
○コミュニケーション
喜怒哀楽などの感情表現として尻尾を使い気持ちを伝えたり、意思疎通をはかるためのコミュニケーションツールとしての活用しています。
※こういった役割を考えるとデメリットを持ち合わせてしまうこともありますが犬種によっては様々な理由から断尾する場合もあります。